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母に相続してほしかったのに…相続放棄の落とし穴

相続放棄 相続人

父が亡くなって数週間。
相変わらず慌ただしくしているけど父が遺した財産をどうするか考えないといけません。
相続人は母と兄妹。

兄妹の考えは決まっています。
自分たちはすでに自立しているので父の遺した財産は全部母が持っていてほしいと思っています。
でも法律で決められているとおりに相続したとすると3人がそれぞれ相続することになるみたいです。
何かいい方法はないものかといろいろ調べ始めました。

ということで、今回は「母に全部相続してもらうために相続放棄したらどうなるのか?」について書いてみようと思います。
このコラムでは相続放棄をするとどうなるのか?母に全部相続してもらうにはどうすればいいのか?について知ることができます。

▲子どもたちは母が全部相続してほしいと思っています。

子どもたちが相続放棄すればいい?

いろいろ調べてみると、相続放棄すると自分たちは相続人ではなくなるそうです。
ということは子どもたちが相続放棄すれば母だけが相続人になるから全部母が相続できるんじゃないか?と考えました。

後日家庭裁判所で手続をして子どもたちは相続放棄しました。
これで母が全部相続できると安心しました。

ところが父の弟が相続人としていくらか相続財産を持っていくことになってしまいました。
それほど多くはなかったものの、母に全部相続してほしかったのにその想いはかないませんでした。

▲子どもたちが相続放棄すれば母が全部相続できるのでしょうか?

これが相続放棄の落とし穴。

相続放棄をすると子どもたちは相続人ではなくなります。
であれば母だけが相続人なので母が財産全部を持っていってくれるはずです。
それなのに父の弟がいくらか持っていってしまいました。
どうしてでしょう?

これは相続放棄をしたことが原因です。
相続放棄をするとその人は相続人ではなくなりますので相続することはありません。
しかし、相続放棄をして同じ順位の相続人が誰もいなくなると次の順位の相続人が相続することになります。
相続人の順位についてはこちらの記事で解説しています。

今回第1順位の子どもたちが全員相続放棄をしたことで第1順位の相続人がいなくなりました。
この場合第2順位の直系尊属(祖父や祖母)が相続人になるのですが、今回のケースではおふたりともすでに亡くなっていました。
ですので第3順位の父の弟が相続人ということになってしまい、配偶者である妻と同じ順位で相続人となってしまったのです。
その結果、父の弟がいくらか持っていってしまったのです。

▲第1順位の相続人がいなくなったので次の順位の相続人が登場します。

遺産分割をすればよかった。

母に全部相続してほしいとの想いから相続放棄しましたが、結果その想いが遂げられませんでした。
では母に全部相続してもらうにはどうすればよかったのでしょうか?

この場合、母が全部相続するという内容で遺産分割協議書を作成する方法がありました。
相続人全員で話し合った結果母が全部相続するという内容に決まったということです。


子どもたちは相続放棄しないので第1順位の相続人のままです。
そのため次の順位の相続人として父の弟が登場することはありません。
その結果、父の弟がいくらか持っていくということはなく、遺産分割で決まったとおりに母が全部相続することができます。

まとめ(相続放棄は慎重に。)

いかがでしたか?
母に全部相続してほしいとの想いから子どもたちは相続放棄をしました。
その結果、第1順位の相続人がいなくなったので次の順位の相続人である父の弟が相続人として登場しいくらか持っていってしまいました。

母に全部相続してもらうには遺産分割で「母が全部相続する」という内容に決めるという方法がありました。
子どもたちは相続放棄をしていないので第1順位の相続人のままなので次の順位の弟が登場することはありませんでした。
その結果、子どもたちの想いどおり母が全部相続することができました。

相続放棄は一度してしまうと撤回することができません。
思ったのと違った結果になりそうだからやっぱり相続放棄やめます。というわけにはいきません。


相続放棄すべきかどうかの判断はなかなか難しいものです。
ご自身で判断が難しいと思われたら専門家にご相談されることをおすすめします。

2024/9/19
土地家屋調査士・行政書士 松景事務所
富山県富山市向新庄町4-12-2