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田んぼを譲ってもらって家を建てようとしていたDさん。
数か月後、無事農地転用が認められました。
Dさんは大工さんなので仕事仲間に手伝ってもらって自分で家を建てました。
それから数十年…
住宅は取り壊され更地になっています。
このまま持っていても使い道がないので思い切って土地を手放すことにしました。
幸い譲ってほしいと言ってくれる方が見つかったので不動産屋さんにお願いして売買の手続を進めてもらおうとしたところ、土地の地目が田んぼのままになっていることが判明。
不動産屋さんから「ちょっと時間がかかりますね。」と言われました。
ということで今回は「農地転用のあと地目変更をしていないとどうなるか?」について見ていきましょう。
この記事では農地転用のあと地目変更をしていなかった土地を手放すときの手続を知ることができます。
今回のDさんはきちんと農地転用の手続を行っていたので問題はありませんでした。
それなのになぜ今回の売却に時間がかかることになってしまったんでしょうか?
これは農地転用を行って家を建てたあと、土地の地目を田んぼから宅地に変える登記をしていなかったことが原因でした。
「地目」とは土地の用途のことで、「田」や「宅地」などその土地の使いみちが登記されています。
通常だと農地転用の手続を行って家を建てると土地の地目を「田」や「畑」から「宅地」に変更する登記(土地地目変更登記)を土地家屋調査士さんにお願いして法務局に申請してもらいます。
Dさんは農地転用の手続はきちんと行っていたのですが、この登記を忘れてしまっていたのです。
Dさんが田んぼを埋め立てて家を建てればその土地はもう田んぼではなくなります。
何言ってるの?家が建っているんだから田んぼなわけないじゃん。
そうですね、どこからどう見ても田んぼじゃありませんよね。
たしかにもう田んぼじゃありません。
ただ、現地が実際に宅地になったとしても登記は自動的には変わらないんです。
家が建っていても地目変更登記の申請をしなければ登記は田んぼのままになってしまいます。
この登記が忘れられていることは珍しいことではなくて、意外とあちこちで見つかります。
前回のコラムでも書いたところですが、地目変更登記をしないで地目を田んぼのままにしておくとどうなるか?
この土地は宅地ではなく田んぼとして扱われます。
そうなると誰かに譲ろうとしても田んぼとして扱われますので、また農地転用の手続をしないといけなくなってしまいます。
もしDさんからEさんに譲ろうと思ったら、また農地転用の手続を行って認めてもらわないといけません。
以前別の人からDさんが譲り受けたときの農地転用の許可書が手元にあったとしても、それは「別の人からDさんが譲り受けるための農地転用の許可書」なので、DさんからEさんに譲るときの許可書としてそれを使い回すということができません。
この場合改めて「DさんからEさんに譲るための農地転用の手続」をやらないといけません。
過去の許可の内容を変更するために「事業計画変更の申請」というものを提出することになりますが、事業計画変更の申請と同時に通常の農地転用許可の申請も提出しないといけないことがほとんどです。
事業計画変更の申請は通常の農地転用許可の申請といっしょに提出するわけですが、同じような書類を提出するのでそれ自体は大変ではありません。
何がしんどいかというと「過去の許可の内容がわからない。」や「どうして計画を実行できなかったのかはっきりしない。」というところです。
過去の許可の履歴は調べればなんとかなりますが、実行できなかった理由は当事者でないとわかりません。
「それだったら計画を実行するのは難しいよね。」ってわかってもらえるだけの理由がないと計画変更が認めてもらえません。
認めてもらえないと当然通常の農地転用も認めてもらえません。
ここが通常の農地転用よりしんどいところですし、何より手続が多くなる分費用も多くなるというところが何よりも負担になってしまうところでしょう。
いかがでしたか?
今回は「農地転用のあと地目変更登記をしなかったら?」というお話でした。
土地の地目変更登記を忘れてしまうと、実際は宅地だったとしても田んぼや畑として扱われてしまいますのでもう一度農地転用の手続が必要でした。
過去の許可書を使い回せばいいじゃないか。と思うところですが、残念ながらそれはできませんでした。
もう一度行う農地転用は事業計画変更の申請とセットなので手間も費用も多くなってしまいます。
地目変更登記を忘れただけ。と思うかもしれませんが、数年後苦労することになってしまうかもしれません。
農地転用=地目変更もセットで。
覚えておいてくださいね。