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・高齢になって農地を耕作できなくなったから誰かに耕作してもらいたい。
・農地を相続したけど県外に住んでいて耕作することができないから誰かに貸したい。
こんな想いを持っておられる方も多いと思いますが、こういうときは耕作してくれる方に賃貸したり使用貸借(無償で貸すこと)したりする方法があります。
賃貸・使用貸借するとき「農地中間管理機構を利用する方法」と「農地法第3条許可を受ける方法」の2つが代表的です。
どちらも最終的なゴールは同じく「利用権の設定」ですが、どちらの方法を選択したらいいのかは悩ましいところです。
そこで今回はこの2つについてそれぞれ解説してみたいと思います。
2つの制度を知ることでご自身に合った選択をすることができるようになります。
まずは農地中間管理機構を利用する方法から見てみましょう。
農地中間管理機構とは簡単に言うと、農地を持っているけど耕作していない人と、農業をやりたいけど農地を所有してない人をつなげる役割をしています。
貸し手と借り手の間に機構が入ってくれて耕作機関や賃料の交渉などを行ってくれます。
また賃料は機構が徴収してくれて所有者に支払ってくれるので安心です。
機構を利用したときのメリットは、
・契約手続きや賃料の受け取りを機構が代行してくれるため、貸し手の負担が少ない。
・通常10年以上の契約が基本なので、農地が安定して利用される。
・複数の農地をまとめて貸し出すことができ、効率的な農業経営につながる。
・補助金や助成を受けられる可能性がある。
が挙げられます。
逆にデメリットは、
・貸し付ける相手は一定の条件を満たした方に限定されてしまう。
・期間が長めなので途中で農地を返したいときは調整が必要なことがある。
・農用地区域内の農地が対象のため、場所によっては利用できないことがある。
が挙げられます。
ただ、すでに貸したい方が決まっているときは尊重されることがあります。
メリットデメリットがありますが、機構が間に入って調整してくれるので安心して任せることができる点は大きなメリットでしょう。
次は農地法第3条の許可申請を行う場合を見てみましょう。
農地法第3条の許可申請とは、農地の所有者が耕作を希望している特定の方に直接農地を貸すときに市町村の農業委員会の許可を得る手続です。
貸し手・借り手の関係に応じて、何をどの時期に栽培するのかなど柔軟な契約が可能です。
メリットとしては、
・貸し手が信頼できる相手に直接貸すことができる。
・貸し手と借り手が直接交渉できるのでお互いの意向が反映しやすい。
・貸し手と借り手の合意で契約内容を決められる。
が挙げられます。
デメリットとしては、
・農業委員会の許可を得るための申請や審査が必要なため準備の負担がある。
・賃料の受け取りなどは貸し手の方が自身で対処しないといけない。
・個別の貸し借りが基本となるため、大規模な農地活用には不向き。
が挙げられます。
こちらもメリットデメリットがありますが、当事者どおしで直接話し合って内容を決めることができることがメリットでしょう。
それではどちらを選べばいいのか?というお話ですが、ご依頼いただくと毎回ここで悩みます。
どちらもゴールは「利用権の設定(借りた方が耕作できるようになる)」ですので、どちらを選んだとしても同じところに辿り着くわけです。
じゃあどちらがいいんだろう?ということで窓口で事前相談をするわけですが明確にこちらで進めましょうという結論が出たことがありません。
そうなると、どちらの方法が適しているかは状況によることになります。
そこで私が考える選択の基準を挙げてみたいと思います。
・手続きの負担を減らしたい
・長期間安定して貸したい
・行政機関が間に入ってほしい
という方は農地中間管理機構を利用するのが良いと思います。
・信頼できる人に貸したい
・特定の農地など小規模で貸したい
・細かい契約の内容は自分たちで話し合って決めたい
という方は農地法第3条の許可申請を行うのが良いと思います。
例えば「細かいことは任せて農地を長期間貸したい」という場合は機構を利用するのが良いでしょう。
逆に「いつもよくしてもらっている近所の○○さんに耕作をお願いしたい」という場合は農地法第3条の許可申請が良いでしょう。
このようにおひとりおひとりの状況に応じてどちらを選択するのかを判断していくことになります。
いかがでしたか?
農地の貸し借りには、「農地中間管理機構を利用する方法」と「農地法第3条許可を受ける方法」の2つがあります。
どちらが優れているというわけではなくて、どちらもメリット・デメリットがあります。
ですのでご自身の状況に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。
また機構を利用する場合には都道府県の農業振興の部門へ、農地法第3条許可を申請する場合には市町村の農業委員会が相談を受け付けていますので、どちらにすればいいのか迷ったときは相談することをおすすめします。
親身になって相談に乗ってくれるはずですので専門家や行政窓口と連携しながら、適切な方法を選択するようにしましょう。
農地法第3条の許可申請はこちらからどうぞ