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そろそろ家を建てたい。
できれば実家の近くがいいな。
でも実家の周りで空いている土地が見つからない…
う~ん、両親に相談してみよう。
数日後、両親に相談したら父の名義の田んぼの一部を使って家を建てたらどうだ?と提案されました。
どうやったらそういうことができるのか調べてみましたが何がなんだかさっぱりわかりません。
なんとなく難しいそうだなっていうことだけがわかってもやもやした気分です。
ということで今回は「田んぼや畑を宅地に変えるときはどんな手続が必要なのか?」について書いてみようと思います。
この記事では田んぼや畑を宅地に変えるときはどんな手続が必要なのか?スケジュールはどれくらいなのか?費用はどれくらいなのか?の大枠を知ることができます。
農地を宅地に変えたいときは「農地転用」という手続が必要です。
これは「農地を宅地に変えたいので許可してください。」という手続で、農地を管轄する農業委員会に対して申請します。
・どこにあるどのような農地なのか?
・どうして田んぼや畑を潰してまで宅地にする必要があるのか?
・周りで他に使える土地はなかったのか?
といった内容をまとめて申請書類として提出します。
特に「どうして田んぼや畑を潰してまで~」と「周りで他に使える~」のふたつは重要で、ここがしっかり説明できないと許可してもらえません。
「だって周りの土地より安いから。」や「農地の所有者が売りたがっているから。」だとまず許可されません。
「農地を守る」ことが法律の目的ですのでそりゃそうですよね。って言うお話です。
先ほどの「農地転用」の前に「農振除外」という手続が必要な場合もあります。
もう少し丁寧にすると「農用地区域からの除外願」と言います。
(本当はもっと長い名前ですがここでは「農振除外」にしておきます。)
こちらは「農用地区域内の農地」のときに必要な手続で、農地転用の前に除外願というものを提出します。
農用地区域は簡単に言うと「一生懸命耕作してくださいね。」という地域で、その区域内の農地は原則農地転用は許可されません。
ですので農地転用の前に農用地区域から外してもらう手続が必要なわけです。
その区域から外れることでようやく農地転用の手続が行えるようになります。
この農振除外の手続が最も難易度が高く、そもそも外してもいい農地なのか?外す必要があるのか?など細かいところまで厳しく審査されます。
担当課と何度も協議を重ねることになりますので一番最初の最大の関門と言ってもいい手続です。
田んぼや畑を全部宅地にするときはこの手続きはいりませんが、田んぼの一部分だけを宅地にしたいときはその部分を田んぼから切り離して別の土地として扱う手続が必要です。
この切り離して別の土地として扱うようにするための手続が「分筆登記」です。
測量作業を行って土地の境界をはっきりさせたうえで法務局に申請します。
この手続が完了すると宅地にしようとする部分に新しい地番(土地に付いている番号)が付けられて田んぼとは別の土地として扱われるようになります。
分筆登記は農地転用の申請前に完了していないといけません。
(スケジュールは最後にまとめますね。)
宅地にしようとする田んぼや畑が市街化調整区域内にあるときは「開発許可」という手続が必要です。
市街化調整区域は基本的に建物を建てられない区域ですので、どうしても建物を建てたいときは決められた基準に合っていないといけません。
その基準に合う建物かどうか?建てる必要があるのか?などをこれまでの農地の基準ではなく「都市計画法」という別の基準で審査されます。
別の基準で審査されますので場合によっては「農地としての基準は満たしているけど都市計画法の基準を満たしていないので結果として宅地に変えることは認められません。」という事態が起こってしまいます。
宅地にしようとしている田んぼと畑の間に用水が走っているときは「占用許可」が必要です。
たとえば車の出入りのために用水の上に橋を架けたり蓋をしたいときはその用水を管理している市町村などに占用許可という申請を行わないといけません。
土地改良区という管理団体のときは「多目的使用」という契約を結ぶこともあります。
こちらはどのような橋を架けるのか、蓋をするのか?を図面にして提出します。
管理団体独自の基準を設けているところもありますので事前に調べておかないと途中で計画を変更しないといけなくなるかもしれません。
もしも田んぼや畑が「埋蔵文化財包蔵地」の中にあるときは試掘調査を行わないといけません。
わかりやすく言うと田んぼや畑が遺跡の範囲内にあるときです。
このときは工事を始める前に地面を掘ってみて遺跡の痕跡らしきものが出てこないか調べます。
何も出て来なければ特に問題なく工事を始めることができます。
もし土器のかけらや井戸の跡のようなものが発見されると場合によっては本格的な調査が始まりますのでそれが終わるまで数か月、あるいは年単位で工事がストップしてしまいます。
こればっかりは掘ってみないとわからないというところがリスクと言えます。
だいたい一般的な手続を書いてみましたが、スケジュールを組んでみると以下のようになります。今回はすべての手続が必要なケースを想定して組んでみました。
手続の順番は農振除外→分筆登記→農地転用+開発許可+占用許可+試掘調査という具合に農振除外が一番最初でその後分筆登記を行って残りの手続を同時進行で走らせます。
農振除外を提出してから試掘調査が終わるまで最低でも半年はかかります。
準備期間も含めると8~10ヶ月ほど想定しておかないといけません。
先ほどと同じくすべての手続が必要なケースでどのような費用がかかるか見てみましょう。
まず専門家に支払う報酬。
それから土地改良区という管理団体の管轄から外してもらう際に必要な決済金が場所にもよりますが概ね1㎡あたり100から200円ほど。
さらに開発許可の申請手数料や登記事項証明書などの発行手数料。
全部を足すと100万円程度は想定しておかないといけません。
いかがでしたか?
一般的な手続を書いたので、場所によってはこのほかにも手続が必要になることもありますので期間も費用も変わってきます。
道路一本挟んだだけで必要な手続がまったく違うこともよくあることです。
また隣り合っている農地でも右側の農地は宅地にできるのに左側の農地はできない。ということもあります。
手続が多ければ多いほど打ち合わせする担当課は増えますしそれぞれの基準で審査されますので調整をうまくしていかないとどこかで合わなくなってしまいます。
ご自身で窓口に行ってみたものの複雑すぎて自分でできる気がしないとご依頼いただくことがとても多いです。
当事務所ではここに書いた手続をすべてお受けすることが可能ですし、すべての手続を最初の打ち合わせの段階から同時に進めていきますのでご自身で窓口に出向く必要もありません。
もしわからないことやこまっていることがありましたらいつでもご相談くださいね。
※農地転用がうまくいかない原因についてまとめたコラムもありますのでこちらも参考になさってください。
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