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田んぼや畑に住宅を建てたい。農地転用の面積の上限はどれくらい?

農地転用 面積上限

ご自身やご家族が所有している田んぼや畑に住宅を建てたい。
他の方が所有している田んぼや畑を譲ってもらって住宅を建てたい。

これらの場合は「農地転用」という手続が必要です。
この手続を経て初めて住宅を建てられるようになるわけですが、この手続を行うにはどれくらいの面積の田んぼや畑について農地転用を行いたいのかが決まっていないといけません。

今回は農業をされていない方のための住宅(非農家住宅)と農業をされている方のための住宅(農家住宅)のふたつに分けて、どれくらいの面積を宅地として使うことができるのかを見ていきましょう。

非農家住宅のための農地転用の面積上限は?

住宅を建てるためにご家族の所有している田んぼや畑を使いたい。でも自分は農業を営んでいない。という方もいらっしゃると思います。

あるいはまったく農業をやっていないけどご実家の近くだったり職場の近くだったりという理由で農地転用をご希望される方もいらっしゃると思います。

これらの方は農業をされていない方(非農家)ということになります。
これらの方のための住宅を建てるために農地転用の手続を行うときの面積の上限は500㎡までとされています。つまり499.99㎡までということになります。

ですが、実際に非農家の方の住宅を建てるための農地転用のご依頼をいただくときの面積で500㎡ギリギリまで転用される方はあまりいらっしゃいません。
これまでお手伝いさせていただいてきた非農家住宅だと250㎡~350㎡ぐらいが平均値です。

面積が小さい分には特段指摘されることはないのですが、地域によっては開発行為など別の規制で面積の下限が決められていることもあるのでどのような地域なのかは計画を立てる前に調べておきましょう。

同様に500㎡を超えなければ面積が大きくてもかまわないのですが、農地転用はあくまで必要最小限だけ。というルールがありますので、広い面積を転用したい場合はそれなりのしっかりした理由が求められます。

農家住宅のための農地転用の面積上限は?

次は農家住宅のケースを見てみましょう。

ご両親が農業をされていて、これから農業を受け継いでいこうと思っている方が住宅を建てられるようなケースが農家住宅にあたります。

農家住宅のために農地転用を行うときの面積の上限は1000㎡までとなっています。
これは生活するための住宅の他にトラクターやコンバインを保管しておく車庫や草刈り機などの農機具を保管しておく格納庫も必要なので面積の上限が大きくなっています。

この場合も非農家住宅と同様に地域によっては別の規制がある可能性がありますので調査が必要です。
また、住宅や農機具の車庫や格納庫に対して敷地が広い場合はしっかりとした理由が求められます。

▲住宅建築のための農地転用には面積の上限が決められています。

農地転用の面積で気をつけたいこと。その1

非農家住宅と農家住宅でそれぞれの面積の上限を見てきましたが、どちらにも共通する気をつけないといけないことがあります。
それは、先ほども触れましたが「農地転用の面積は必要最小限で。」というルールです。

それぞれ500㎡や1000㎡までという上限が決められていますが、なんでもかんでもこの上限まで転用していいわけではありません。

農地法はあくまで農地を守るための法律ですので田んぼや畑は残したいと考えています。
ですのでたとえば300㎡あれば住宅を建てられるのにそれ以上の面積を転用するとなると300㎡以上の部分は何のために転用するの?という指摘を受けてしまいます。

この部分について納得のいく説明ができれば問題ないのですが、これまでの案件だと建物の大きさに対して面積が大きいケースのほとんどはその説明が難しかったです。

「広い庭がほしい」や「お客さんが来たときの駐車場にしたい」や「家庭菜園をしたい」という理由だとなかなか納得してもらえないでしょう。

「農地転用はあくまで必要最小限。」というルールは覚えておきましょう。

▲農地転用はあくまで必要最小限の面積が原則です。

農地転用の面積で気をつけたいこと。その2

先ほどは「農地転用はあくまで必要最小限。」ということについて見てきましたが、もうひとつ気をつけたいことがあります。

それは、他の土地と合わせて住宅を建てたいというケースです。
田んぼや畑のとなりに宅地があるのですが、宅地だけだとちょっと面積が足りないんだよな・・・というイメージです。

例えば宅地が230㎡だとしましょう。
これから転用しようとしている田んぼや畑が300㎡だったとします。

この場合、転用しようとしている田んぼや畑だけだと500㎡より小さいので全部転用できそうに見えますが残念ながら全部は転用できません。

田んぼや畑以外の土地も合わせて住宅を建てるときは、田んぼや畑以外の土地も含めて500㎡(1000㎡)までというルールになっています。

ですのでこのケースだと500㎡-230㎡で270㎡、厳密に言えば269.99㎡までしか転用できません。
もしこのケースで農地転用を進めたいときは田んぼや畑を測量して分筆することで面積の上限以下にしないといけません。

▲隣の宅地も使って住宅を建てるときは宅地も含めて上限まで。

まとめ(どれくらいの面積を転用するのかは慎重に。)

いかがでしたか?
今回は「田んぼや畑に住宅を建てるための農地転用と面積」について非農家住宅と農家住宅に分けて見てきました。

非農家住宅の場合は500㎡まで、農家住宅は1000㎡までというルールでした。

かと言ってなんでもかんでもこの面積まで転用できるわけではなく、農地転用はあくまで必要最小限というルールもありました。

また隣の宅地なども合わせて住宅を建てたいというときは宅地などの面積も含めてそれぞれの上限までというルールでした。

建築計画を立てる段階でこれらの面積を超えた図面を見たことはありませんが、田んぼや畑を分筆して残しておきたくないという理由から無理やり必要なさそうな面積を転用しようとした事案はよく目にします。

それがダメだということではありませんが、それなりの理由が説明できるようにしっかりとした計画を立てるようにしましょう。

これまでたくさん農地転用のお手伝いをさせていただいてきましたが、無理やり面積の上限まで転用しようとされている案件をよく目にしました。

上限は超えていないからいいでしょ?というものでもありません。
大きい面積を転用しようとするときはその理由を説明できるようにしましょう。
この記事を書いた人
松本景文(土地家屋調査士・行政書士・宅地建物取引士)

富山県の不動産・農地・相続手続だけを専門としてお手伝いさせていただきながら、複雑でわかりにくい手続をコラムとしてわかりやすく日々発信しています。
温泉行きたい。ガンプラほしい。野菜育てたい。筋トレ好き。そんな人です。
2025/1/14
土地家屋調査士・行政書士 松景事務所
富山県富山市向新庄町4-12-2